ワタシのような『キャッチ・アンド・イート派』な釣り人にとって、釣果である食材としての魚介類の鮮度をキープして持ち帰ることは最大の使命。すなわち、クーラーボックスはタックル一式と同様、釣り人の必須アイテムであります。
ところが、いざ釣具屋さんに行けば様々な形状・サイズ・価格のクーラーボックスがずら~っと展示されており、タックル選びと同様、釣り人を大いに悩ませるわけです。
さて、何を基準にクーラーボックスを選択すればよいのでしょうか。
ここでは、メバル、アジ、キス、アオリイカなど、釣りの世界では『小型』に分類される魚種をインするクーラーボックスについて、ワタシが愛用するダイワ『クールラインSU800X』を紹介しつつ、クーラー選びのポイント等を書き綴ります。
目次
サイズ選びの基本
ターゲットとなる魚種のサイズに合わせる
多くの釣り人が、まずはサイズ選びに悩まされることかと思います。
基本はずばり『ターゲットとなる魚種のサイズに合わせる』であります。
メバル、アジなどは、陸っぱりでアベレージ20cm、最大でも30cm程度の魚です。『小型魚』に分類されます。アオリイカもキロオーバーでも胴寸30cm、1.5kgクラスで胴寸35cm程度なので、違和感あるかもですが『小型』に分類してよいターゲットだと思います。

したがって、これらメインターゲットとするワタシのようなアングラーにとって、クーラーは『小型』が最適サイズです。
具体的には容量が10リットル前後のモノが該当します。
メバリング、アジング、キス釣り、エギングなど釣りは、頻繁な移動をともなう機動力が求められる釣りです。漁港内を5m刻みで移動、ポイントそのものの移動、これを繰り返します。いわゆる『ランガン』です。
したがって、クーラーボックスには高い携行性が求められます。その答えが、ターゲットを収納できる、大きすぎず小さすぎないギリギリサイズ、10リットル前後のサイズです。
クーラーボックスの大原則。大は小を兼ねない
『小型』でいいよ、と言われても以下のような理由から懸念・不安をもつアングラーがいらっしゃるでしょう。
懸念1『いつ大物が来るか分からないし』
懸念2『超絶大漁だと入りきれないでしょ』
このような懸念・不安から、『大は小を兼ねる』という発想のもとワンサイズ、ツーサイズ大きめの20リットル級の中型サイズをついつい選びたくなってしまう・・・・。
はっきり申しあげます。釣りのクーラーボックス選びにおいて『大は小を兼ねません』(異論は認めます)
まず懸念1『不意の大物への対応』について。メバリング、アジングなどの小物釣りに外道はつきものです。シーバス、クロダイなど。しかし、小型サイズに収まりきれないほどのサイズが掛かるのはレアケース。
巨大アオリイカの場合は、胴体を曲げて収納すればOKでしょう。
いずれにせよ、めったに起こらない事態のために機動性を犠牲にしてまで大きなクーラーで釣り歩くことは、決して賢い選択とは言えないでしょう。
次に懸念2『大漁への対応』について。懸念1と同様、小型サイズに入りきれないほどの釣果に恵まれることもレアケースです。
そもそも、容量10リットル程度のサイズであっても、メバル、アジなどの小物なら意外なほど収納できます。20cmクラスのメバル、アジであれば保冷のための氷のスペースを考慮しても相当数ストックできます。

ワタシは8リットルサイズのモノを所有していますが、20匹超のメバルを入れたときでも倍以上は収容できる余裕がありました。(小型クーラーの収容力は後述しています)
したがって、懸念1と同じく、めったに起こらない事態のために、機動性を犠牲にしてまで大きなクーラーで釣り歩くことは賢い選択とは言えないでしょう。
そもそも小型サイズに収まりきれない釣果って、食べる量の限界を超える釣果です。
あと、これは気持ちの問題ですが、大容量のクーラーボックスに10匹程度のメバルやアジ、数ハイのアオリイカが収まっている画というのは、ある種のむなしさ、さびしさを感じるものです。
大きめのクーラーボックスが有利な場合
とは言っても、小物釣りにおいて大きめ(中型)のクーラーボックスが力を発揮する場面もあります。
それは20リットル程度の中型サイズをサブとして使用する場合です。(現場に持ち込むのはあくまでも小型サイズ)
車のトランクに20リットル程度の中型サイズ(保冷済み)を置き、現場には小型サイズで臨みます。
この方法だと、不意の大物が釣れても、また思わぬ大漁・豊漁となっても安心です。
また、クーラーボックスは容量が大きなほど保冷力も上がります。車のトランクに置いた中型サイズを保冷・保存のメインと考えれば、現場に持ち出す小型の保冷力は最低限度でよいことになります。
その結果、必要以上の氷や保冷剤を入れない分、釣り歩くクーラーボックスが軽量になり、釣りの機動性の大幅な向上を期待することができます。現場で釣った魚は小型にイン、車の中型に移し替えて場所移動みたいな感じ。ランガンに最適、夏場は安心な体制だと言えます。
また、飲み物や食糧など釣り具以外のモノを中型の方に入れておくこともできます。
これ、たいへん理にかなった利便性の高いクーラーボックスの使い分けと言えます。
保冷力の基本
クーラーボックスの断熱材と保冷力
さて、サイズが決まったならば、次は性能(保冷力)の選択です。同容量であれば、保冷力が高いほど値段も上がります。世の中カネです。
また、保冷力が高いほど、同様量でもサイズが大きくなり、重量も重くなります。
これらを考慮しながら、性能(保冷力)を選択することになります。
なお、保冷力すなわちクーラーボックスの値段を決する『断熱材』には次の3種類あります。(ダイワHPから引用)
真空パネル
約0.002~0.008 多孔質素材を金属フィルムで真空パックしたもの。ダイワの採用している断熱材で最も高性能。
ノンフロン発泡ウレタン
約0.02~0.03 ポリウレタンを発泡させたもの。クーラーの内部の隅々まで充填するため保冷効率がよい。
発泡スチロール
約0.03~0.04 ポリスチレン粒を炭化水素ガスで発泡させたもの。ダイワクーラーの断熱材の中で最も軽量。
つまり、真空パネルが保冷力最強!で、2番目がウレタン、最も保冷力が低いのがスチロールです。
「だったら最強の真空パネルにしたろ!」っと鼻息を荒げるところですが、ちょっと待て。ここにマネーの問題が発生します。
そう、真空パネル採用のクーラーボックスは恐ろしいほど値段が高いのです・・・。
メーカーもそんなユーザーのお財布事情を考慮してか、クーラーボックスの6面のうち、「真空パネル6面採用(最強!)」、「真空パネルを1面採用、残り5面はウレタン」、「真空パネルを3面採用、残り3面はウレタン」、「6面すべてウレタン」、「6面すべてスチロール」・・・みたいに保冷力を細分化して製品をリリースしています。
まぁ、有り難いちゃ有り難いのですが、であるが故に我々消費者は大いに悩んでしまうわけですが。
保冷力は、断熱材だけでは決まらない
なお、現在、ダイワはクーラーボックスの保冷力を「KEEP値」という指標で表しています。
高機能な断熱材採用したモデルの「KEEP値」が高くなるのは当然のことですが、クーラーボックスの容量に応じても「KEEP値」は高くなります。
したがって、高価な真空パネルを採用した小さなクーラーボックスと、リーズナブルなスチロールを採用した大きなクーラーボックスでは、後者の方が保冷力が高くなる場合があります。そして、後者の方が値段も安い。
また、同じ容量、同じ断熱材であっても、フタに小魚投入口がある、あるいは水抜き栓があるなど、便利だが密閉性を阻害する機能があるクーラーボックスは、そこが冷気の逃げ道となるため「KEEP値」が低くなるようです。
クーラーボックスの性能を断熱材だけで評価してはダメ。奥が深いです。
断熱材は各自の釣行スタイルに応じて決めよう
断熱材の種類については、各アングラーがメインに釣行する季節や時間帯、それに財布と相談しつつ決定すればよいでしょう。
例えば、メバリングなど冬の夜釣りをメインとするアングラーにとっては、高い保冷力、すなわち高性能な断熱材は必要ないでしょう。発泡スチロール断熱材のクーラーボックスで十分です。
エギングやキス釣りなど、春~初夏の日中にも釣りをする方、盛夏を含め年中釣りをする方は、最上位の真空パネルが部分的に採用されたモデルも視野に入れ、保冷力にこだわったほうがよいです。
まぁ高性能な断熱材が使用されていなくても、氷を増加することで保冷力をカバーすることができますけどね。重くなるし、魚の収容量が犠牲になりますが。
まぁ、この辺の選択はアングラー次第ってところです。
ダイワ『クールラインSU800X』
ワタシは己の釣りのスタイル、財布とよ~く相談した結果、現在は8リットルの小型サイズ、ダイワの『クールラインSU800X』を愛用しています。

ワタシのメインターゲットがメバル、アジ、キス、アオリイカなどであるため、これくらいのサイズが必要にして十分。
これ、断熱材に真空パネルを2面採用しており、このサイズにしては贅沢な仕様。写真手前の広い面とその対面の2面が真空パネルです。フタの断熱材はスチロール、残りの3面の断熱材はウレタンです。
てか、どうせ真空パネルを2面採用するなら、温度変化の影響を受けやすい底面とフタの2面に採用すればよかったのに・・・・と思いつつも購入!
冬のメバル釣りだけを考えれば、割高な真空パネル仕様である必要はなかったのですが、春や秋には日中にエギング、キス釣り、サビキ釣りなどを嗜むため、『保冷力が欲しいな』ということで真空パネル採用のコレを選択しました。
これ、8リットル前後の小型クーラーボックスの中では高価な部類に入りますが、そうそう買い替えるモノでもないので、無理して思い切って購入しました。
絶賛愛用中です。
クールラインSU800Xの収納力
アジゴなら100匹は収納可能
収容力の点において、小型クーラーボックスを選択することに迷いがある方、参考までにSU800Xがパンパンになったときの釣果を書き記します。

15~18㎝のアジゴが76匹
手のひらサイズのクロ(メジナ)が6匹
200~300gのアオリイカが3ハイ
魚とイカはそれぞれジップロックに入れました。
これに500mlのペットボトル氷1つと、帰り道に追加してコンビニで買った1.1kgのロックアイスを袋のまま魚の上に設置してクーラーがパンパンになりました。
つまり・・・小物釣りであれば大漁・豊漁でも8リットルサイズでも十分に対応できます。アジゴのみであれば、保冷のための氷のスペースを考慮しても100匹はストックできそうです。

まぁ、あまりぎゅうぎゅうだと、イカがつぶれないようにするなど、配置に気を使いますが。
なお、ワタシはこの『釣れすぎてクーラーボックスがぎゅうぎゅうとなる問題』を解決するため、サビキ釣り専用に16リットルのクーラーボックスを新たに追加購入しました。
サビキで100匹程度のアジを釣ることが頻発する釣り人は、中型のクーラーボックスが良いかもです。
アジのサイズにもよりますが、30~40匹程度なら保冷剤(氷)のスペースを考慮しても10リットル前後のサイズで十分でしょう。
クールラインSU800Xの保冷力
ワタシの場合、保冷はペットボトル氷と釣具屋さんに売っている氷板を釣りモノや季節に応じて使い分けています。
なお、『−16℃』的な保冷剤は使用していません。理由は、魚の鮮度を維持するにあたり、そこまで冷やす必要がないと思うから。また、サビキ釣りで潮氷を作るのにも不向きだと思うからです。
晩秋~冬の釣り
メバリングなど晩秋~冬の夜釣りでは500mlのペットボトル氷1本を保冷剤として使用しています。帰宅後もばっちり氷が残っていて問題なしです。
春や秋のエギング
春や秋のエギングでは釣行時間に応じて500mlのペットボトル氷を2本使用しています。移動込みの12時間釣行で氷が2~4割残っています(ペットボトル2本使用時)。氷が残っているということは、魚やイカの鮮度を維持する程度の温度はキープされていると言えるでしょう。
帰り際、氷の残量が少ないなぞ!と思ったときは、帰宅途中に釣具屋やコンビニで氷板を買い足します。1.7kg前後の氷板を釣具屋さんで買うと100円くらい、コンビニだとその3倍くらいします。断然、釣具屋さんで買う方がお得です。
初夏のキス釣り
初夏の日中のキス釣りでは釣具屋さんで1.7kgの氷板を購入しています。同じ量の氷でも、不純物が混入していない透明な氷板の方が、ペットボトル氷よりも長持ちします。

移動込みの12時間釣行で、7割くらいの氷が残っています。
アジのサビキ釣り
初秋のアジ釣り(サビキ)では、潮氷をつくるため、釣具屋さんの氷板は使用せず、1リットルのペットボトル氷を2本を使用しています。もっとも、本腰を入れてサビキ釣りをする場合は、ひとまわり大きな16リットルサイズをメインで使用しますが。
※氷の残り方は当日の気温、現場の日当たり、その日の釣果、フタの開け閉めの頻度で変動します。特にアジのサビキ釣りでクーラー満タンの大量!となった場合、このサイズのクーラーボックスだと帰りに氷の買い足しが必要となることがあります。
タチウオも収納可能です!

陸っぱりで釣れる平均サイズ、指3~4本、70㎝~90cmクラスであれば、タチウオも複数本を余裕で収納できます。
写真のようにぐるぐる巻きにしてインすればよろしい。メーター級のドラゴンサイズもぐるぐる巻きでいけそうな雰囲気です。
保冷力維持に貢献する魚投入口

冷気の逃げを最小限度に抑える機能です。暑い時期に釣りをする方には必須の機能です。
冬のメバル釣りやエギングをメインとしていた頃は「これ必要か?」と疑問に感じていた機能ですが、初夏にキス釣りを楽しむようになってからは「絶対にいるヤツ!」と考えが180度変わりました。

初夏のキス釣りに加え、クーラーボックスの開閉頻度が高くなるアジのサビキ釣りにおいても魚投入口があると便利です。
投入口がワンプッシュ開閉なら完璧でしたね。
クールラインSU800Xのメンテナンス性

本品に限らず、有名釣り具メーカーのクーラーボックスはフタと本体が分離します。釣行後の洗浄作業がスムーズになります。
拡張性(カスタマイズ性)で選ぶ
ダイワやシマノなどの大手釣り具メーカーの場合、アフターパーツが充実しており、個々人の釣りのスタイルや好みに合わせてお手軽に改造・カスタマイズすることができます。
マイクーラーも見てのとおり、アフターパーツを使ってプチ改造を施しています。

こんな感じでクーラーボックスを気軽に『自分仕様』にしていしまいたい方は、大手メーカー製のモノを選ぶとよいでしょう。
もちろん、ダイワ等のアフターパーツを他社製のクーラーに取り付けることはできますが、モノによっては取り付けに加工が必要となる場合があります。
関連記事:サビキ用クーラーボックスは16リットルがちょうどいい!
◆こちらがワタシが愛用する『クールラインSU800X』です。
◆で、こちらは真空パネルでないバージョン。上のモデルの廉価版です。氷を多めに入れるなどすれば、真空パネルでなくても大丈夫でしょう。
ダイワ(Daiwa) クーラーボックス 釣り クールライン GU 800X ブルー 886826
◆最後にコチラ。何と泣く子も黙る6面真空パネル仕様!安全・安心の保冷力!7リットルとさらに容量が小さいですが、小物釣りなら必要にして十分のサイズ。ワタシがクーラーボックスを買った当時はコレがリリースされてなかった。今、クーラーボックスを選べと言われたら迷わずコレを選びますね。
いや待て。6面真空パネルだけあって値段もアレなんでワタシには無理か・・・・